君は❛どんな人❜になりたいか。

せかいのみかた

大人は子どもに「君は何になりたい?君は何にだってなれるんだよ」と事あるごとに声掛けする。

僕自身、小さい頃は何度もその言葉を掛けられてきたものである。

大人になった今、僕は大人として子どもたちにそのような声掛けはしないようにしている。

なぜ、そう考えるようになったのか、当時の記憶を掘り起こして書いていきます。

では、いってみよう!

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「君はどんな人になりたい?」

そんな言葉を問いかけてくる大人と僕は初めて出会った。

僕の名前はゲンキ。将来の夢はサッカー選手、どこにでもいる普通の中学生。

地元のサッカーチームに所属し、県の選抜にも選ばれている。地元では、そこそこに有名で、友達からはプロになれるんじゃないかと言われている。

小学生の時から、自分より上のカテゴリーで試合に出させていただいたりしている。

そんなわけだから、自分自身ももしかしたら、高校で強豪校にサッカー入学し、将来はプロになれるんじゃないかと思っている。

そんなこんなで、中学3年生の夏、どこの高校に入学しようかなあと僕は考えていた。グラウンドが芝のM高校もいいし、文武両道のU高校もいいなあ…

学校から帰ったら、毎日一人練習をしているし、チームでは一番上手なんだから、自分は成功出来るんだ!そんなふうに思っていた……あの人に会うまでは。

ある日のこと、学校の行事のひとつで、有名な人(先生はそう言っていた)の講演会があった。なんでも、有名な作家さんだとか。人の話を聴くのは眠くなるし、めんどくさいなぁ、まあ寝ていればいいか。なんて僕は思っていた。

案の定、クラスの大半の人は寝ていた…が、僕は話の内容が衝撃すぎて、僕は頭をハンマーで叩かれた気がした。

その時間ずっと僕は自分のこれからの生き方について考えさせられた。

その時の話を少し、みなさんに紹介したい。

(入場)

ある作家:「こんにちは。私の名前は〇〇〇〇です。(名前は伏せておきます。)作家として活動し、全ての人に可能性があるということを一人でも多くの人に伝える活動をしています。より多くの人の人生を良くするきっかけを創りたいという目的のもと生きています。」

ある作家:「突然ですがみなさんの将来の夢ってなんですか。」

僕(突然、何を質問しているんだ。普通の講演会とは一味違うな…)

ある作家:「二列目の右から三番目の手を挙げてるあなた」

A男:「はい。私の将来の夢は公務員になることです。」

ある作家:「なるほど。では、他の人。その後ろの子は?その子の後はさらに横の君ね。」

B女:「はい。私の将来の夢はパティシエです。」

ある作家:「いいですね。私は甘いもの大好きなので、応援しますね。」

僕(げ。僕か…)

僕:「僕の将来の夢はサッカー選手です。」

ある作家:「僕もずっとサッカーをしていましたよ。頑張ってね。」

ある作家:「答えてくれた人はありがとう。みんな立派に答えてくれました。さすがA中学校の子たちですね。」

ある作家:「今、みんなが答えてくれた将来の夢にはある共通点があったんだけども、それに気づける人はいるかな?よく考えれば当たり前のことなんだけど、僕ら大人は特にわからない。君たちも見落としてる盲点(スコトーマ)みたいなものがあって、共通点に気づけないんだ。なんだと思う?」

一同(公務員・パティシエ、サッカー選手。共通点なんてあるか?)

ある作家:「それはね、全部❛職業❜だっていうことなんだ。みんなが言った夢は、全て職業、仕事なんだよ。世の中の人は大人も子どもも多くの人は将来の夢イコール職業だと思っているんだ。大人だけでなく、小さい子どももみんなそう。幼稚園の時のことを思い出してみて欲しい。卒園アルバムの将来の夢はなんだった?」

僕(僕の将来の夢は大道芸人だったな。確かに職業といえるな…。でも、将来の夢が職業なのは当たり前じゃないか。じゃあ、将来の夢は何ていえばいいんだ?)

ある作家:「この国の人は将来の夢を職業だと思い込んでいるんだ。それは、学校や大人が子どもたちに君はなにになりたい?何になれたら幸せかな?と口うるさく問いかけることが一つの原因としてあるんだ。でも、君たちには知ってほしい、職業というのは❛手段❜でしかないんだ。」

僕(職業は手段?どういうことだ?僕の夢はサッカー選手だけど…サッカー選手が手段って。なんの手段なんだよ。)

ある作家:「では、さっきサッカー選手になりたいって言っていた子がいたのでサッカー選手で考えてみようか。さっきの子に聴いてみようか。なんで君はサッカー選手になりたいのかな?」

僕(なんでっていわれてもなあ…)「……日本代表の本田選手に憧れて、あの人みたいになりたいって思って。自分も本田選手みたいに子どもたちに勇気みたいなものをあげたいなって思ったんです。」

ある作家:「憧れて、自分も子どもに勇気をあげたいか。素敵だね。難しい質問に答えてくれてありがとうね。じゃあ、聴くね。子どもに勇気をあげられる職業ってサッカー選手の他になにかあるかな?」

僕(子どもに勇気をあげられる職業か……サッカー選手以外にもたくさんありそうだな。僕の幼稚園の時の夢の大道芸人もみてるみんなに勇気をあげていそうだ。他にも学校の先生の一言で勇気をもらったこともあったな。)

僕:「大道芸人や学校の先生とか。」

ある作家:「そうだね。それらの仕事も周りの人に勇気をあげてくれるね。僕が今日言いたいのは、❛何になりたいか❜を大事にするかよりも、❛どんな人❜になりたいかを大切にしてほしいってことなんだ。サッカー選手になりたい君は、周りの人に勇気を与える人、きっかけとなる人になりたいってこと。それが君の人生のゴール、命の使い道なんだよ。サッカー選手はそのための手段なんだ。だから、きみがこれからサッカー選手にならなくたっていいんだ。大道芸人になって、周りの人に勇気をあたえたっていいんだ。学校の先生になって、子どもたちに勇気を与えたっていいんだ。」(なんなら、僕みたいに作家になって、読者に勇気を与えたっていいんだよ)

僕(そういうことか。僕はサッカー選手という手段をつかって、周りの人に勇気をあたえたかったのか。僕の命の使い道は人に勇気を与えること……)

ある作家:「職業=夢って考えちゃうと、❛夢を諦める❜みたいな悲しい言葉が子供たちから出てきてしまうし、夢は変えないほうがいいみたいな風潮も生まれてくるんだよ。僕は子どものころ、すぐに将来の夢が変わるから、周りの人に色々と言われたんだよね。先生からはそんなすぐにかわるのは夢じゃないし、そんなんじゃ夢はかなわないぞとかね。なにより夢=職業という固定観念があるとその夢が叶わなかった時に、夢(職業)があなたの人生の支配者となってしまって、無限の可能性が有るにも関わらず、あなたは俺の人生なんか…って思うようになってしまうんだ。だから、僕は君たちにどんな人になりたいかって一番に問いたいんだ。」

僕(確かに、友達のK君は小学生の頃はサッカー選手になりたいって言ってたけど、そこから変わって、今は数学の先生になりたいって言ってたな。数学も好きで、サッカーも好きだから、部活も教えたいって話してたな…)

ある作家「もちろんサッカー選手という夢はとっても素敵な夢だね。僕も中学生の時は日本代表の中田選手に憧れて、髪型を真似したり、その人のスパイクを履いてプロになりたいと思っていたからね。僕の場合はたまたま、同じ年代に日本代表に選ばれるような化け物がいてね。その子がいるチームと試合をした時に僕はプロになるには相応しくないなと思って夢を消化できたんだ。今、消化という言葉を使ったけど、この話は君たちにまた会うことがあったらじっくりと話したいと思う。今日は、夢≠職業、夢≒どんな人になりたいかということを憶えて帰って、是非おうちの人とじっくり考えて欲しいんだ。今日の僕の話はこれで終わりだ。もっと詳しく話をしたいと思った人は是非、僕宛てに手紙を出して。君もその横の君も全ての人にもっと可能性があるんだ。今日は君たちの時間をくれてありがとうございました。」

僕は講演会が終わって、家に帰るまでの記憶がなかった。なぜかというと、あの人の話を聴いてから、胸のワクワクが止まらなかったからだ。母さんが帰ってくるとすぐに今日の話をした。母さんはその作家のことを知っていて、実はファンだったということもわかった。

母さん「なんでサインをもらってこなかったのよ。母さんはその人のある本を読んだことをきっかけに入った会社で父さんと出会ったのよ。」

僕「そんなこと知らないよ!母さんはどんな人になりたくてその会社に入ったの?」

母さん「母さんは大学生の頃は保育士になりたくて、保育士の資格を取ったんだけど。色々あってね。子どもも大人も全ての人が自分らしくイキイキと生きられる手助けが出来る人になりたくて今の会社に入ったのよ。」

僕「母さんは今、障がい者の方の施設で働いているんだっけ?」

母さん「そうよ。その作家さんが言っていたどんな人になりたいかを考えて生きていると、それはそれは面白い出会い・縁に恵まれるのよ。私もそうだったわ。あなたがその考え方で生きていったら、私よりもさらに面白い生き方が出来るかもしれないわね。全ての人に可能性があるのよ。」

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後日談

僕:「こんにちは!僕はこの学校の卒業生でゲンキといいます。先週の情熱大陸は見てくれたかな?今は作家として活動したり、教育施設の運営を行ったり、お酒を創ったり、様々なことをしています。それらと並行して全ての人に可能性があるということ、生きる上で僕が大切だと思うことを一人でも多くの人に伝える活動をしています。」

僕:「突然ですが、みなさんの将来の夢ってなんですか。では、前から3列目の手を挙げてるあなた!」

世界の見方②「夢≠職業、夢≒どんな人になりたいか

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