社会人として働いて数か月、、、、
僕は気づいたら、父が植えたばかりのお米のなかでリフティングをしていた。
遊んでいたわけではなく、
農に関する某省庁に勤めていた僕は、
農の発信の一環として動画を撮ってはyoutubeにアップしていた。
それからしばらくすると、
気づくと今度は狩猟免許(わな猟)の会場で、
くくりわなの試験を受けていた。
またしばらくして、気づくと
フルマラソンを走っていた。
そして、我に返ると、社会人1年目にして、
転職をしていた。
某省庁出勤最後の日には、
同期に合いそうな本を選書して、一人一冊プレゼントしていた。
プレゼントに対するプレゼントということで、
同期の子が、僕に1冊の本を渡してくれた。
家賃数千円の宿舎に帰ると、
僕はすぐにその本をとりつかれるように読み終えてしまった。
「これは僕のことじゃないか?」
その本とは、
『トリツカレ男』いしいしんじ(新潮文庫)
たった150頁ほどの童話みたいな物語。
オペラ、三段跳び、サングラス集め、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミの飼育・・・・・・・。
主人公のジュゼッペは何かに夢中になると寝ても覚めてもそればかり。
あだ名は「トリツカレ男」。
そんな彼が、寒い国からやってきた風船売りの少女ペチカに恋をした。
ペチカの笑顔の底ににごりがあることを感じ取ったジュゼッペは、彼女の笑顔を取り戻すために、こっそり、自らを顧みず尽くす物語です。
ピュアなラブストーリーではあるんですが、
スティーブジョブズの有名なスピーチ(connecting the dots-点と点をつなげる)に、
通じる普遍の真理に通じるものがジュゼッペの姿から身に染みて感じます。
これまでの経験全てが思いもよらぬところで活かされていくのが人生です。
色々なことに夢中になれるジュゼッペのような心もちでいないと、
好きな女の子ひとり口説けないし、
何事にもとにかく真面目に一生懸命に取り組んでいけば、
点と点がつながっていくということを痛感させられます。
仕事をしていると、生きていると、
目の前のこと、やっている仕事に何か意味があるのかと、ふと我に返る瞬間があるはずです。
そのたびに、僕は同期にもらった『トリツカレ男』を読むことで、
ジュゼッペが、
何事にも真面目に一生懸命に取り組めば、点と点がつながっていくんだと教えてくれます。
僕が田んぼの中で真面目にリフティングしたことは、
何につながっていくのだろうかと思う今日この頃。
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