9通目のきみへの手紙は、「勉強について」だよ。
意外に思うかもしれないが、きみが生まれる時、僕は教育関係の仕事をしていたんだ。
(まだ生まれていないけど)
だからかもしれないが、勉強をすることに対して自分なりによく考える時間があったんだ。
そこで僕なりに考えたことをきみに伝えていくね。
なぜ勉強をするんだろう?
周りの大人はなんて言ってるかな?
きみの将来のためだ!
立派な大人になれないよ!
勉強をしないといい職業につけないよ!
色々な事をいっているんじゃないかな。
どれが正しいということはないんだ。
その人はその人の信念や過去積み上げてきた解釈でその言葉を発しているので、
(勉強に関しても見えないメガネをかけていると言えるかもしれないね。)
どれもが本当と言えるし、
ほんとうでもないといえる。(その人はその人なりに正しいことを言っているんだ。)
だから、
ぼくが今から伝えることもぼくの信念や積み上げてきた解釈で発しているにすぎないと思ってくれて構わないよ。
なぜ勉強するのか?
ぼくは自分のためではなく、
まだ見ぬあの人、ぼくが勉強することで出会えて、
もしかしたら助けられる人のために勉強すると考えているんだ。
ぼくが勉強をしていたから、きみにこんな話が出来ているように、
勉強することで出会える人たちの助けになるために、僕たちは勉強をしているんじゃないかな?
きみが今日する勉強が、未来のまだ知らないあの人のためになっていると考えたら、
なんだか不思議な気持ちになって、勉強をしよう、勉強をしたいかもと感じられるんじゃないかな?
ぼくには一つ年上のお兄ちゃんがいてね。
(それはそれは優秀な人だ。)
兄は、中学生の時に国立の高校に行こうと決めて、毎日コツコツ勉強していたんだ。
(通っていた中学からは二人だけ、その高校へ行ったんだ。)
その兄をみて、僕も勉強を頑張ってみようかなと思ったんだ。
(ぼくがべんきょうをがんばろうと思ったのは兄の姿を見てから4年後だったけどね。)
そして、その結果、ぼくはきみに勉強について伝えようとしているんだ。
何がいいたいかというとね、きみが勉強をするのは
きみのためではないんだ。
まだ見ぬ人、ひそかにきみをみているひと、きみの応援をしてくれているひと、
もっと言えば、全世界、全宇宙のためといってもいいかもしれない。
兄が勉強する姿を密かにみていたぼくが勉強を頑張り、
ぼくが勉強を頑張る姿を見ていた浪人時代の友人Mくんが勉強を頑張って社会を変えている。
きみのがんばった勉強はきみの眼に見える結果に結びつかないかもしれないが、
世界はつながっているんだ。
きみのがんばりが世界のどこかで絶対にだれかを救っているんだ。
そう考えたら、頑張ろう!と思えないかな?
勉強をすることで周りの人を救っている。
周りの人を救うために勉強をするんだ。
これがぼくの勉強をする理由なんだけど、どう思ったかな?
また、きみの考えをきかせてね。
勉強について少しでも考えてみたいと思ったら、まずこの本はどうだろうか。
『ぼくは勉強ができない』山田詠美
『手紙屋 蛍雪篇~私の受験勉強を変えた十通の手紙~』喜多川泰
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